「VBAはもう古い」「これからはOffice ScriptやPower Automateの時代」――そんな声を、ここ数年よく耳にするようになりました。
しかし本当にそうでしょうか。中小企業のIT支援を続けてきた立場から言うと、VBAは今も現場で確かな役割を持ち続けています。今回は、その理由を実際の案件経験を交えてお話しします。
なぜ今あえて「VBA」なのか
VBAの最大の魅力は、学習コストの低さに対して得られる効果が非常に大きいことです。少し学べば、日々の集計・転記・帳票作成といった定型業務を大きく効率化できます。一方で、マクロウイルスのような形で強い影響力を持ちうることからも分かる通り、VBAは”手軽さ”と”パワー”を両立した稀有な言語です。
Office ScriptやPower Automateなど新しい代替ツールが登場したことで、「VBAはもう役目を終えた」という論調が広がりました。しかし私たちは、この手軽さと汎用性の高さに、もう一度光を当てるべきだと考えています。
AIの登場で、VBAの「役割」が変わる
Copilotのような生成AIに作業を指示すれば、関数で対応できない処理の多くをAIがVBAコードとして書いてくれる時代になりました。つまり、「1からVBAをすべて人間が書く」という仕事は、今後間違いなく減っていきます。
事実として、数年前まで存在した「VBA単体の修正案件」は、今ではほとんど見かけなくなりました。ただし、これは「VBAが不要になった」ことを意味しません。むしろ、
- Webシステムへのリプレースをするほどの予算がない企業
- Officeのバージョンアップで既存マクロが動かなくなり、緊急で修正が必要になる企業
といった現場では、VBAは依然として”頼みの綱”であり続けています。受託での新規開発案件は減っても、サポート・修正といった伴走型の需要はむしろ増えていくのではないかと、私たちは考えています。
VBAは「単体」ではなく「組み合わせ」で活きる時代へ
最近増えているのが、RPAとVBAを組み合わせた案件です。
たとえば、会計ソフトと労務ソフトなど、複数のシステムからそれぞれCSVをダウンロードする作業をRPAで自動化し、そのデータの集計・加工をVBAが担う、といった構成です。RPAは「システムの操作」を得意とし、VBAは「データの細かい加工・計算」を得意とします。それぞれの強みを活かして組み合わせることで、どちらか一方だけでは実現できない、柔軟で実用的な自動化が可能になります。
この経験を通じて感じたのは、「VBAそのもの」というより、「様々なツールの中にVBAがある」という捉え方が、これからの現場に合っているということです。
中小企業の経営者・担当者の方へ
「VBAはもう使えない」というネット上の言説を鵜呑みにする必要はありません。
RPAなど他のツールと組み合わせることで、Webシステムをゼロから新規開発するよりも低コストで、かつ長く使い続けられる仕組みを作ることができます。すでにある資産(VBAの知識やマクロ)を活かしながら、必要な部分だけAIやRPAで補っていく――それが、限られた予算の中で着実にITを前に進めるための、現実的な選択肢の一つだと私たちは考えています。
本コラムは、既存のVBA資産の見直しや、RPA・AIとの組み合わせによる業務効率化にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。
