「白洲前夜」開発秘話 ―― AIと二人で挑んだ、はじめてのゲーム制作

「白洲前夜」は、江戸時代を舞台にしたスリリングなサスペンス脱出ゲームです。実はこの作品は、シナリオからキャラクター画像、BGM、プログラムまで、大部分をAIと一緒に作り上げた、当社にとって初めての挑戦でした。

今回は、代表である私自身が体験した、AIを駆使したゲーム制作の裏側――苦労した点、助けられた点、そしてそこから見えてきた可能性について、率直にお話しします。

「一人でも作れる」に懸けた理由

ゲーム制作には、シナリオ、グラフィック、サウンド、プログラムといった複合的なスキルが必要で、これまで一人で完結させるのは相当高いハードルでした。実は以前、Unityでのゲーム制作に挑戦したものの、手に負えず挫折した経験があります。

それでも今回、AIの力を借りればその壁を越えられるのではないかと考えました。もしこの挑戦が形になれば、ゲームだけでなくシステム開発にも応用でき、できることの幅が一気に広がるはずだと感じたのです。「できそう」というよりも「これなら現実的にやれる」という感覚で着手しました。

シナリオも、絵も、音も、コードも――AIとの分担

世界観づくりはほとんど私自身が担いました。その世界観をChatGPTに伝え、シナリオの骨子を作ってもらい、そこから何度も添削を重ねる「壁打ち」を繰り返しました。台詞のほとんどはChatGPTに任せています。

キャラクターや背景の画像もすべてChatGPTで生成しました。絵柄が大きく崩れることは少なかったものの、画像サイズが時々変わってしまうため、最後まで気は抜けませんでした。

BGMはChatGPTにイメージを伝えてプロンプトを作成し、Sunoで生成しました。効果音は「効果音ラボ」様の音源を活用しています。プログラム部分は、ChatGPTでシナリオとコーディング用のプロンプトを整理し、実際のコーディングはClaude Codeに一任。ホットスポットの調整など一部は手作業で修正しています。

一番心が折れそうになった瞬間

開発中、最も苦労したのはシナリオの尺の調整でした。1時間程度のボリュームを想定していても、AIに任せると3分ほどで終わってしまいそうな構成になりがちだったのです。おそらく「ちょっと作ってみて」という軽い要望への学習結果なのかもしれません(笑)。そうした要望には簡潔にまとめる方が喜ばれるでしょうから。

シナリオの矛盾にも悩まされました。人間側がしっかり把握していないと、犯人や謎の答えがいつの間にか変わっていたりするため、時間をかけて矛盾がないか確認する作業が欠かせませんでした。画像については大きな破綻は少なかったものの、意図しない独自の世界観を持つ部屋の絵が出てくることもありました。

AIがなければ、たどり着けなかった場所

正直なところ、「助かった」というより「AIがなければここまで到達することは不可能だった」というのが実感です。ずっと諦めていた夢を叶えるチャンスが、ようやく巡ってきたと感じました。

リリースして見えてきたもの

リリース後、周囲の反応で印象的だったのは、まず「リリースしたこと自体」への驚きでした。レビューでは「今までにない脱出ゲームで面白かった」という声をいただき、大きな励みになりました。一方で、自分の好みを優先して難易度を高くしてしまったこともあり、全体としての評判は決して高くはありません。

この開発を通じて、人間が作る場合と同じように、要件定義や設計がいかに重要かを痛感しました。すでに次回作の開発も始めていますが、ありきたりな脱出ゲームにはしないことを大切にしていきたいと思っています。

これからのゲーム制作・AI活用について

今後は、大人数・大規模なゲーム制作は少しずつ減っていき、その分、個人や少人数でもハイクオリティなゲーム・アプリが生まれる時代になっていくのではと考えています。当社としても、これは大きなチャンスだと感じています。

同じようにAIでゲーム制作に挑戦したい方へ伝えたいのは、ある程度の規模になると制作の難易度が一気に上がるということです。ただ、そこを乗り越えれば、その先には素晴らしい世界が待っていると思います。


本コラムでご紹介したような、AIを活用したゲーム・アプリ開発にご関心のある方は、お気軽にお問い合わせください。